「世界のエリートがやっている 最高の休息法」 〜体を休めただけでは脳は休んでいない〜
脳は大変な大食感であることを、僕も知っている。
何しろ、体重の2%の重さしかないくせに、体が消費する全エネルギーの20%を使うと言われている。
脳は、それほどにも「休まない臓器」なのだ。
それをもし、意識的に休ませることが出来て、疲労を回復させることが可能なら、パフォーマンスはもちろん最大限に発揮されるだろう。それは、組織やさらに社会の潜在能力を呼び起こすことにも繋がるはずだ。
実は、そんな結構壮大なテーマについて書かれているこの本。早速紹介しよう。
休息と「単なる充電」は違う
スティーブ・ジョブズが瞑想を取り入れていたことは、僕も知っている。グーグルやフェイスブックといったお馴染みの企業も、いわゆる「マインドフルネス」の導入を進めているらしい。「マインドフルネス」とは、「瞑想などを通じた脳の休息法の総称」ということだが、単なる休憩と一番違うところは、それによって、脳が少しずつ変化を起こし、結果として疲れにくい脳を獲得できるという点である。
この本の著者は、ロサンゼルスで精神科医として活躍されている、久賀谷亮さんというお医者さん。最先端の脳科学と、どうしても宗教色の強いある種の怪しさを感じてしまいがちな瞑想。アメリカの超実利主義と、日本の精神社会・禅。両者の橋渡しをするのが日本人であることは、ある意味必然であるようにも感じる。
とにかくやってみた
ここで紹介される瞑想法を、自分なりにやってみた。ところが、愕然としてしまう。全く集中できないのだ。
今、この瞬間に集中するために、自分の呼吸に意識を向けてみる。しかし、1分ももたない。雑念が入ってきて、別のことを考え始めてしまうのだ。
ほとんどの苦難は将来への不安で水増しされている、と言われるそうだ。また、過去の後悔をいつまでも引きずって、ことあるごとに反芻してしまうこともあるだろう。意識が「今」から流されて、時空を超えてウロウロし始める。そのたびにますます疲弊する。
最高の休息法に近付くぞ
呼吸は、意識が「今ここ」から流されないための錨だと書いている。なるほど、今この瞬間だけ、目前の一歩一歩だけにフォーカスすることができたら、それはいらぬことに費やす脳のエネルギーを、確かに劇的に減らせそうに思う。
さらに進んで、例えば怒りを覚える時に、自分の心と感情を同一視せず、別々のものとして捉えられたなら、かなり余裕を持って対処でき、疲労感も比較にならないだろう。
今はまだまだ出来ていないが、もう少し熟練させて、疲れにくくて集中力のある、ストレス耐性も高い、そんな脳が獲得できるかも知れない。そんな確信めいたものを持っている。
これって、要は瞑想法を説いた本?
脳科学と言えば、林成之さんや茂木健一郎さんの名前がすぐ浮かんくる僕だが、人間の行動を、脳の働きを再構築することで修正していこうという考え方が、数多く出てきていることはとても興味深い。単なる根性論・精神論ではなく、科学的に実証されたマネジメントなのだ。
それと、東洋的なものが最も強く滲み出たとも言える瞑想が、こうしてドッキングすることに驚きを隠せない。
というか、人間は進化しても、過去の快い記憶を持ったまま現代に引き継いできたのだろう。
それを遡って安寧を得たいというところに、今気付き始めたのかも知れない。
それなら、洋の東西なんか関係ないし、最新の脳科学がそこまで探求するレベルに追いついた、とも言える。
なかなかこれは深みがあって、考え始めると、「休息」どころでは無くなってしまうのが、やや問題だ。
世界のエリートがやっている 最高の休息法――「脳科学×瞑想」で集中力が高まる
- 作者: 久賀谷亮
- 出版社/メーカー: ダイヤモンド社
- 発売日: 2016/07/29
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