教育資金があるなら、ふんだんにつぎ込むべきだと思う理由
僕が住む大阪市では、来年(平成29年度)から公立小中学校の「学校選択制」というのが始まることになっている。
学区によって始めから指定されている学校ではなく、行きたい学校へ入学希望が出せる、という制度だ。
小学校の場合は、自宅から概ね2キロ程度の範囲内、中学校なら、区内どの学校もOKということになっている。
いい学校へ行かせたい親心
そもそもの始まりは、学校間で競争原理を働かせることで、よりレベルアップを図るという、橋下市長時代の施策が発端になっている。
しかし、それ以前から、人気校に子供が集中するという実態はあった。越境入学ができないとするなら、無理やりにでも校区内に住んでしまえばいいだけで、ある意味簡単なことだ。子供の入学に合わせて住む家を変わるのはよくある話だし、人気の地区はますます株が上がるだろう。新築マンションの広告に、「◯◯小学校区内」なんてアピールしてあるのを見れば、何も知らない人でも「◯◯小学校って人気校なんや…」くらいは分かる。
だから、今回の学校選択制導入は、そういった流れを助長するだけで、実質的には、人気校にとっては校区が広がった、不人気校にとっては校区が狭まった、というだけのことになってしまう。
その結果人気校のレベルが上がれば、それだけが目的かどうかは別にして、大阪市の思惑通りと言える。
意外な展開
ところが、この話の大前提が崩れてしまうという事実を洩れ聞いた。
うちの姪は来春小学校入学予定だが、市内の各小学校の学力テストの結果を入手したらしい。それがオフィシャルなものかどうかは分からないが、区内のトップ人気校の成績が意外なほど悪いという。
優秀な子を集めても、総数が多いので平均点を引き下げる要因も多くなる。その点では、思ったほど「素晴らしい環境」というほどでもないのかも知れない。
どこでもイイんじゃない?
小中学校の成績の良し悪しなんて、ある程度資金力でどうにかなる。ガンガン塾通いをさせれば良いのだ。
教育にかけるお金次第で決まる、と言うなら、どこの学校でも同じじゃん!ってことになってしまう。わざわざ小細工したりせず、近くが最高!ってことだ。
財産なんだから有効活用を
大阪市阿倍野区の場合、11の小学校がある。もっとも多い児童数の学校と、もっとも少ない学校とでは、その差が約5倍。グラウンド面積においても、最大と最小の差は約2倍。
一人当たりのグランド面積を計算してみると、差はもっと著しい。
一番広い金塚小学校と、一番狭い常盤小学校の差は、約7倍にも広がる。
そこを考える時、あまり効果が期待できないのではないかと思われる競争を闇雲に煽るよりも、社会的資産を有効活用する方向へ振っていくのも、至極妥当だと感じる。
教室に子供が溢れかえっているマンモス校のすぐ隣が、ガラガラのグラウンドと空き教室だらけの学校だったら、何人かはそちらへ振り分けていくのが、まともな考え方だと思う。
子供にかけるのはコストじゃない
都会と地方の格差の問題も、同じ物差しで測ることができると思う。集中させた方が効率も良いし、コスト面など何かと好都合だ。しかし、こと教育に関しては別枠として捉えた方が良い。子供が伸び伸びと成長することにかかるお金を、「コスト」だと言い切ってしまえる世の中は、やはりどこか病んでいるように思うのだ。社会資本への投資を怠る考えに、未来があるか?