小豆島の大角鼻灯台に行っても何も無かった 〜それでも記憶に刻まれ続けるだろう〜
小豆島の三都の東海岸からは、それはそれは綺麗な朝日が見える。夜には月明かりが素晴らしいし、星が無数に降ってくるのを拝める。月や星に比べれば、脇役感は否めないが、船と灯台の光も大切なアクセントだ。小豆島の南は、瀬戸内海航路の要衝なのだ。
大角鼻灯台へ行ってみよう
この海域で一際目立つのが、大角鼻灯台。「おおかどはなとうだい」と読む。僕にとっては地元の浜から、海を隔ててすぐ目の前に見えるが、陸路だと内海湾をぐるっと回るので、そこそこの距離にはなる。
小豆島歴50年以上の僕でありながら、今まで行ったことがない。自転車で行ってみることにした。
人の気配なし、車もめったに通らない
安田方面から来て、坂手港を抜けたところを、左手に折れて急坂を登る。まっすぐ行ってしまうと海水浴場の方なので、間違い。
あとはひたすら右に海を見ながら進む。途中二手に分かれる場所があるが、ここでも迷わず右を選択。
僕がこれまで岬の先端まで行ったことがなかったのは、ここで左のルートを進んで、最先端部をショートカットしていたから。牛の形の小豆島の、後ろ足のつま先だけ省いていたのだ。
いつもこの道を通ると感じるが、とにかく〝ひとけ〟すらない。ご存知のように、小豆島に観光スポットは数多いが、この半島はその面では完全に取り残された。
僕みたいにわざわざ、「灯台見に行こ!」って人は希少だろう。
がっかり観光地?
「大角鼻灯台」と書いた看板が見えた。
ん?しかし、何もない。
まだ先か?と思って少し進んだが、やっぱり行き過ぎていた。引き返してよく見ると、草むらの向こうに灯台の〝後頭部〟が見えた。それだけ。
細い道がその先まで延びていたが、ほぼ完全に草に覆われていたし、「スズメバチの巣があります」なんて看板もある。この季節にスズメバチはないだろうが、気持ちのいいものではない。退散決定!
もちろん無人の施設なのでこんなもんか、と思いつつも、同じ小豆島の地蔵埼灯台の周辺が公園として整備されていることを思うと、やや寂しい。「小豆島がっかり観光地」の第一候補に挙げておこう。ただし、その前に「観光地」であるかどうかの時点で落選かも?
自信ある人だけどうぞ
瀬戸内海といえば、その多島美が象徴的だが、小豆島の播磨灘側の海岸からは、ほとんど海しか見えない。晴れれば明石海峡から鳴門海峡まで全部一望する絶景も楽しめる。
灯台を過ぎて東海岸側へまわると、その景色にウキウキが止まらなくなるが、自転車の方は要注意。橘の手前の急坂はかなり手ごわい。僕はまだまだロードバイク初心者なので、参考にはなりにくいが、登りきれなくて途中で自転車を降りてしまったのは、今のところ小豆島でここだけ。寒霞渓の登りとかは、はなから諦めているが、それ以外にこんなキツイところがあるとは知らなかった。
坂手港側にUターンするのも、作戦としてはありだろう。
▲バブル期の遺産みたいな寂しい光景もあります
やり遂げた満足感
フラフラに疲れて帰ったら、うちの前の海岸からいつものように灯台の光が見えた。穏やかな海にキラキラ反射していた。
「明暗灯」と言って、4秒間隔で光が明るくなったり少し暗めになったりするタイプ。一晩中、消える瞬間がないのだ。
一年を締めくくる大晦日の夜に、優しい光が語りかけてくれるような気がして、疲れが飛んで行ってしまう気分になれた。