小豆島の飯神山は、手軽だけれどサバイバル感テンコ盛りだった
小豆島三都半島の根元にあって、内海湾を見下ろす絶景が楽しめる「飯神山。(いがみやま)」
手軽には違いないけれど、それなりの覚悟はあった方がいい。
飯神山は手軽だけど、サバイバル感テンコ盛りだった
まずは、車で登山口を目指す。
三都半島西海岸二面(ふたおもて)の、誓願寺前から山の方へ入るのが、一番分かりやすい。とにかくまっすぐ進んで、山道っぽくなってきたら正解。
途中道が広くなって、分岐が現れたら、迷わずこの看板の方へ行こう。
▲左から登ってきて、右奥へ進む
カーブの陰に隠れているので、見逃してしまうかも知れないが、この標識を探して欲しい。
未舗装路に変わって坂を下りだしたら、それは行き過ぎなのでUターンを。ただし、路肩注意。
薮じゃないかぁ〜
いよいよ、山の中へ踏み入っていく。「登山道」と名前がつく以上、それなりのものを期待したが、甘かった。
薮の中を掻き分けながら進む感じ。道は、膝下くらいの丈の草に覆われていて、時折、長い枝が行く手に倒れている所もある。腰を屈めて、潜るように歩く。
雨上がりで曇っていたので、木々は十分に湿気を含んでいる。あっという間に、ズボンの下半分が湿ってきた。
進むうちに、急坂になる。暑くなってきた。薄い撥水のジャケットを脱ぎたくない気もしたが、汗だくになってきたので仕方ない。
坂がさらに急になって、張ってあるロープを頼りながら登る。石の上で、時々「ズルっ」と滑るので、怖い。
蛇とか蜂とかの襲撃を受けたら、ひとたまりも無いだろう。11月でもこんなに暑いことだし、もっと空気の澄んだ真冬の方が楽しめるかも知れない。その時分なら、この枝たちも少し元気がないだろう。そんなことを考えつつも、さっきより空が近くなってきたことが分かる。
登頂!
程なく、パッと視界が開けて、まるで空に突き出た〝石舞台〟とも言うべきスポットが、目の前に現れた。
てっぺんに立ってみる。鳥になったようだ。前方を遮るものはない。内海湾と田ノ浦半島を一望できる。遠く四国の山影も、もちろん手に取るようだ。
分かりきったことだが、この達成感は何ものにも代え難い。何度繰り返しても変わりない。
怖い、暑い、汚いの不安を蹴散らして、来て良かった〜。しかし、車を降りてからここまで、ほんの30分ほど。サバイバル感と冒険心に満ち溢れてはいるが、ほんの少しの勇気で登れる身近な山であるには、違いない。おすすめだ。
頂上の石の上に立っているのを、もし麓から見上げた人がいたとしたら、飛び降り自殺を躊躇っている人にしか見えないだろう。「楽しいぃ〜!」を全身から溢れさせたほうが、いらぬ心配をかけずに済むだろう。