阿倍野の手打ちうどんなら、昭和町こだわりの「麺工房 北の」へ 〜有名店作りに王道なし〜
日中、晴れていればまだそうでもないが、ヒヤッと感じることもある最近、温かい食べものが恋しくなってくる。
温かいと言えば、「うどん。」蕎麦もいいけど、やはり我々関西人には、うどん好きが多いように感じる。
自宅のすぐ近く、「麺工房 北の」へ妻と出掛けた。ふたりとも以前から気になっていたお店だが、今回が初めてだ。
隠れ家的だが不便ではない
昭和町駅前交差点から北へ300メートルほど、ちょうど歩道橋がかかる交差点を、東に入ってすぐの所にある。
よく、地元のタウン誌なんかに広告が出ていて、知っている人は多そうだ。間口の狭いお店だが、落ち着いた佇まいは、清潔で好感が持てる。
僕が行った日は、平日の昼間、もう2時近くになっていたので、空いていた。
キリッと襟を正しましょう
入ってみると、高級料亭とまでは言わないが、ちょっと一段おめかしした感じ。例えば町のラーメン屋さんっぽく、ワイワイ言いながら食べても良い雰囲気とは違う。小さな子供を連れて入るには、やや気が引けるかも知れない。
まあ、しかし、特別値段が張るわけでもなさそうで、その点では気楽に入れるお店だ。
温まりたかったので、僕は「玉子あんかけうどん」を注文。平日の昼は、無料でうどんの増量もあり。僕は迷いなく、2玉にしてもらった。
さすがに、見ただけでボリューム感たっぷり。温まりそうだ。しかも、シンプル。余計なものは入っていません、というこだわりだろうか。そんなものを感じる。
ひと口啜ってみる。
「熱っ!美味しい〜。」
これぞ、素材の味のみを引き出した、嫌味のない本物の美味しさ。しつこさがないのだ。良いものだけを厳選して、研ぎ澄ましていくと、こういうところへ行き着くのだろう。
メニューには、「〇〇の粉を使っています」とか、「出汁は△☆しか使っていません」とか、麺作りのこだわりポイントも書いてあったが、これも自信の表れと見て取れる。さすがだ。なかなか、大量生産では出しにくいだろうことは、想像できる。
味だけでは流行りません
ちらっと見える奥の調理場には、店主らしき男性の顔が時々覗く。まだ、お若い感じ。もしかしたら40代?
シャキッと頑固そうな顔立ちは、タダ者じゃない感じ。
フロアを切り盛りするのは、その奥さん?笑顔が良くて、テキパキ動いておられるが、いわゆる大阪のオバちゃんとは違って、余計なことまでベラベラ喋ったりはしない。押したり引いたりの加減が、絶妙なのだ。
ここでも、繁盛店の要素をしっかりと満たしている。
気難しそうだが、実は人懐っこいこだわり店主と、しっかり者で愛想良しの、女性の接客。
食べ物屋さんなんだから、美味しいことはもちろん大切だが、居心地が良いことも、やはり大きなウエートを占める。
料理は楽しむもんやね
自宅のすぐ近くに、こんな名店があるのは嬉しい。
忙しい中で、とにかくお腹がいっぱいになればいいや、ってこともあるが、本来はしっかりと味わって、その時間を楽しむものであることが理想なんだ。食事とは、そうあるべきなんだ。そんな、当たり前のことに気付かされた。
また、時々行ってみたい気分になった。