僕の魂が海を渡って行ったり来たりする物語

小豆島から大阪へ流れ着きました

小豆島へ自転車で初上陸 〜待ち構えていたのは予想以上の急坂だった〜

記念すべき、自転車での小豆島初上陸。その祝福気分に浸る間もないことは、あらかじめ分かっていた。福田港を降りると、いきなりの急坂なのだ。

 

 

真っ暗なので手探り状態

フェリーの到着は、午後7時すぎ。集落のわずかな灯り以外はない。道は真っ暗だ。特に安田までの山道と、三都半島に入ってからは、危険も伴う。心して掛かれ!

 

 

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走り始めて、わずか数分。あたりは漆黒となった。加えて、瞬く間にギアは最軽にダウンされた。辛うじて進んでいる、というスピードまで落ちている。当然、息は上がってきた。三都の家まで何時間?なんて、想像も出来ない。果てしないほど先であるのは、確かだ。

 

風はほとんど無かった。暑すぎたり寒すぎたりもしなかった。その点はラッキーだったと言える。ポケットに入れたiPhoneの音楽を、フルボリュームで鳴らしながら走った。この苦しさを紛らわせるため、動物除け、そんな意味だが、これには助かった。虫の音だけでは、心細かっただろう。

 

とにかく、道路に引かれた白線だけが頼り。それを外さないことだけに集中。ガードレールが切れている所では、特に何が起きてもおかしくない。崖があっても分からない。何しろ、見えないのだ。

 

 

苦しさの中で瞑想する

この道は、子供の頃から何百回も車で走っている。だから、暗いとはいえ、大体の自分の位置取りや、先のアップダウン、カーブの状況も把握できている。全く知らない所なら、こんな程度の不安感では済まないだろう。幾分、気が楽と言えなくもない。

 

だから、なお一層、ライトに照らされるラインだけに集中できた。「あとどれだけ登ってるんやろ?」なんて、余計なことを考えなくて良いのだ。とにかく、ひと漕ぎひと漕ぎ進んで、息の乱れを最小限に留める。

 

雑多な情報をできるだけ排除して、自分自身の感覚に集中することが、まず基本的な瞑想法だ。心の安寧がハイパフォーマンスを生む所以でもある。その境地を垣間見る気分ではあった。そんなに大層なものでもないかも知れない。しかし、いつの間にやら、ものすごい不安感も恐怖心も無くなってきたのは事実だった。

 

 

やはり体は嘘をつかない

ざっと数えて、大きな坂を4つは超えた。必死の思いで、安田の町に到着。上陸後最初の信号がある。この瞬間、自分でも驚いた。ここまで、一回も休憩すらしていない。相当疲れた。

 

赤信号に引っかかったので、停車体勢に入る。ところが、足の動きが、やや自分の感覚からズレている。停止線付近の状況も、はっきりとは見えない。左の歩道側に体重をかけて停まったつもりが、自分でも驚嘆、右の車道側にコケてしまった。「立ちゴケ」というやつだ。都会なら、それだけで車の下敷きになりかねない、痛恨の大ミス。

 

周りには誰も居ず、怪我もなかったので、何も無かったということで済んだ。良かった。これは、何かに助けてもらった。誰かに、守ってもらった。はっきりとそう感じた。

 

でも、チェーンが外れた。「この場で野宿?」一瞬のうちに、最悪の事態までもが頭をよぎる。しかし、奇跡的と言っていいだろう。目の前にコンビニがあった。。そこまで自転車を押して行って、駐車場で応急修理。幸い、すぐに元通りになった。「大丈夫だ、ありがとう。」誰に向かって言ったのだろう?この、いくつも折り重なったラッキーを呼び寄せてくれた主に…。

 

 

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 教訓

これが、速いか遅いかは分からないが、福田港から三都の蒲野まで2時間あまり。真夜中着も覚悟していたが、回避できた。ビールも飲めて、それは良かった。

 

 

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集中して、スイスイと事が進むのは、まあ悪いことではないだろう。しかし、体は確実に疲労している。その双方の感覚に乖離がありすぎると、思わぬしっぺ返しを食らうことも有り得る。〝行け行けドンドン〟ばかりが良いわけではない。いつも頭の片隅に、冷静さも感じながら突っ走りたい。それでも、自信だけは確実にグッと引き寄せることができた。そんな、「初ひとりヒルクライムin暗闇withちょっとトラブル」だった。

 

 

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▲ まさに今回の「頼みの綱」