世界一貧しい大統領の言葉は、世界中に伝わるだろうか? 〜自由とは縛られないこと〜
世界一貧しい大統領のムヒカさん。
まず何よりも、その壮絶な半生に驚くばかりだ。
清貧を説いているだけじゃない
この方、何とこれまでに4回も投獄されている。若い頃、反政府運動に関わっていたらしい。命の危険にも晒されている。「武力で政権を倒すことも辞さないと考えていた」と、現在の風貌からは想像しにくい、おっかないことも言っている。
そんな経験の上に立って、「命があるだけで有難い。だからお金もモノも必要ない。慎ましく生きましょう」とだけ言っているように受け止められるかも知れないが、実はそうではない。
「貧しい」ってなに?
第一に、この方を「世界で一番貧しい大統領」なんて肩書きで呼ぶが、本当だろうか?
貧富の差というのは、一般人の想像をはるかに超えたものになっているらしく、来る日も来る日も数百万円、数千万円と使い続けても、なお使いきれないという方もあると聞く。
しかし、大半はお金がかかる生活を維持するために働く層だ。いろんなものを買い込んで、働いて支払うことに人生を費やす人達だ。こんなこと付け加えても良いものかどうか分からないが、同時に、知らぬ間に超富裕層に上納させられているのも、この人達だ。「搾取」あるいは「詐取」?そう仕向けられている。そんなシステムに取り込まれている。
「楽園はこの世にあるべきなんだ。楽園の鍵は、自分の心に、自分の意思にある。ほんとうらしいことに惑わされてはいけない。」なんてことが言える人を「貧しい」と呼ぶのには、どうも違和感を伴う。
哲学者であれ
誰もが人生の指針を持つだろう。いや、持たない人もいるようだが、そういう人は、どうも薄っぺらい。深みがないのだ。
哲学なんか持っていても、金銭的価値は乏しいから軽視してしまう。じっくり積み上げられていくものなので、それにかかる時間も惜しいのかも知れない。
でも、それでは自分の中にあるであろう多様性も見えてこない。奥深くに隠れている、自分でも気付かない自分にアプローチしようじゃないか。鏡をじっと見つめなければならない。
〝楽園の鍵〟を映すその鏡は、果たしてすでに手元にあるのか?正直なところ、僕はそれさえも今はまだ分からない。
国外脱出?
「原発は良くないんじゃないだろうか?」「大量消費、大量廃棄は行き詰まりつつある」とは感じている。本当はそこまで必要ないのだ。無くても構わないモノは多い。
そう感じつつも、社会を構成する一員に甘んじている。国外脱出する気はないし、無人島に暮らすのはイヤだ。それどころか、お金もないのに「いい車が欲しいな」なんて、やっぱり時々考える。
なんと流されやすいのか…。そして、なんと狭い世界に暮らしていることか…。
ただ、間違いなく言えること。僕はいま、幸せだということ。
ムヒカさんの幸福論 世界一貧しいと呼ばれた大統領 (朝日新聞デジタルSELECT)
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