小豆島高校野球部の最後の夏が終わりました 〜高松日帰り応援行〜
昨年の夏の県大会、強豪高松商業を相手にコールド負けを喫したあの時、誰がこのストーリーを予想しただろうか?
突然幕が開いた
2017年春の、土庄高校との統合はすでに決まっている。新チームが、学校としての最後のシーズンを戦うことになるのは分かっていた。
対外的には、何の変哲も無い田舎の学校がひとつその歴史の幕を降ろすだけだ。クラブ活動だって、同時に新しく生まれ変わってしまう。静かな幕引きのドラマが待っているだけのはずだった。
ところが、新チームにとって最初の大切な戦い、秋季香川県大会で、いきなり優勝してしまった。香川県1位校としての四国大会出場。
俄然、甲子園が現実味を帯びてきた瞬間だった。
そして、悲願は叶った。島からの甲子園。
ホントに楽しんでますか?
夢は、あっという間に醒めた感がする。なにしろ試合時間は僅か1時間半。秋から始まったソワソワ、ザワザワ。直前の狂騒。えんじに染まったアルプス。そして、放心。
熱狂は、その後の「夏こそみんなで甲子園で校歌を」という言葉を、当然のように呼び起こした。キャプテンの樋本君もそう言った。
もはや弱小チームではない。でも、コンスタントに甲子園が狙える強豪校でもない。冷静に見れば、誰でも分かる。
期待が膨らみ過ぎた感は無かったか?小さい島だ。盛り上がるのはいいだろう。でも少年たちに、勝利至上の野球を期待しているわけではない。Enjoyしてくれなければ、本末転倒なのだ。
集大成の舞台は「負ければ終わり」の世界
「ピンっ」と張り詰めた緊張感漂う、甲子園への道。僕は、しっかりとこの目に焼き付けるべく、レクザムスタジアムへ出掛けた。
センバツ出場は、ある意味チームや応援団に箔をつけてくれた。今や、こぞって応援に駆けつけるファンが、スタンドを真っ赤に埋めていく様は、奇異でも何でもない。
どの選手も我が子のように感じ、ただ「ガンバレー!」、そのひと言を送りたいだけなのだ。
それを重荷に感じることなく、子供たちは躍動してくれた。そう信じたい。ピンチを切り抜けてベンチに帰る彼らの表情は、スポーツの神様が与えてくれたGIFTに違いない。
良かった…。みんなが楽しめている。やっぱり野球の持つ力は、すごい。
ありがとう、ごめん
結果的にこのチームの最後の勝ち試合となった、多度津高校戦を体験できたことに、僕はとても大きな喜びを感じている。
多くの高校球児にとって最終ゴールである甲子園を、春の段階で達成してしまった彼らには、その後の4ヶ月は図らずも辛いものであったかも知れない。追い打ちをかける多大な期待感に、有言実行の文字で立ち向かい、さらに逞しく生まれ変わった彼らに、ただ感謝するのみだ。
ありがとう…。
田舎の若者たちは、こんなおじさんをも突き動かしてくれた。そして、再確認をさせてもくれたのだ。
野球が大好き、小豆島も大好き。