怖気付いたら飛び込め 〜なみはやドームの記録会は、その空気感を味わえただけで価値あり〜
自信満々
小4の娘は保育園の頃から、水泳を習っている。だから、贔屓目に見ても運動能力が優れているとは思えないが、そこそこは泳げるので、自信だけは持っているようだ。
大阪市の小学生参加の水泳の記録会が、毎年夏休み中に行われているらしい。場所は「なみはやドーム。」今は、「東和薬品ラクタブドーム」という名前だ。ネーミングライツというやつで、5年間はそうなっている。
参加者募集のプリントを持って帰ったうちの娘は即答した。
「行ってみたい!」
いつも通り自信満々だ。こういう時、わけもなく躊躇するよりは、そのまま飛び込んでしまう子であって欲しいな、と思う。
夏休み中とはいえ平日。妻は、その日仕事を休むことにした。
未体験だらけ
こんなこと言っては何だが、平泳ぎで50メートル泳ぐだけだ。彼女の泳力からすれば、朝メシ前である。ところが普段と違うところは、いくらでもあった。
- 50メートルプール、初体験
- 水深1.4メートル!
- 強者っぽい人、いっぱい
- 「プチ競技会」の雰囲気
自分の経験を思い出しても分かるが、50メートルプールはデカイ。泳いでも泳いでもゴールの壁が見えない。しかも、水深1.4メートルは、身長1.35メートルの娘にとっては恐怖だろう。
それだけじゃない。大阪市内中から、腕に覚えのある子供たちが集まってきているのだ。低学年のうちから、スイミングスクールの選手コースとかに通っている子は多い。うちの子は、はっきり言って彼らと同じ土俵で戦えるレベルではない。勝負しに来ているのだ。楽しそうだから行ってみよう、というのとはわけが違う。
行ってみたはいいけれど、自分の出る幕じゃない。そういったものを感じたのかも知れない。
怖気付いたな!
つまりは、その雰囲気にビビってしまった。直前になって、妻に「もう、出るの嫌や」と言い始めたらしい。
その気持ち、すごくよく分かる。さすがは我々夫婦の子だ。
だからこそ、ここは思い切って飛び込まなくてはならない。そんなことで止めたら、絶対に後悔する。後悔だけが残る。よく分かる。
妻の経過報告のメールに、「途中でやめても恥ずかしくない!スタートしよう、やってみよう」と返信して励ました。
涙出たよ
それが効いたかどうか分からないが、勇気を振り絞ってくれた。
妻が動画を送信してくれたけど、僕は涙でそれがよく見えなかった。
予想通り、トップの子とは全くレベルが違った。でも、そんなこと関係ない。
それでえぇんや
その日の夜に報告してくれた。
やや、ショボンとした風ではあったが、どこか誇らしげでもあった。
酷な言い方をするなら、これは挫折の始まりかも知れない。だって、同世代なのにすごい奴がいっぱい居ることが分かった。そして、彼らは自分よりも何倍も真剣に水泳に取り組んでいる。
「自分だって追いつける」とイメージできるなら、もっと頑張ればいい。イメージ出来なくたって責めはしない。もちろん、人間は万能ではない。
夏休みの1日、いそいそと出かけた。想像と違った。怖くなった。止めようかと思ったが頑張った。悔しかった。でも、ちょっと嬉しかった。
行動を起こしたから、こんなにもたくさんの経験ができた。それこそが大切なんだ。どの感情もとても大切なものだ。そう、それでえぇんや。
記録は「失格」
ちなみに、うちの娘が残した記録は、タイムではなく「失格」であった。泳法違反を指摘されてしまった。調べてみると、平泳ぎのフォームの規定は、結構厳しい。
想像するに、気持ちが焦って頑張りすぎて、腕のかきが大きくなってしまい、手がお尻の横にまで伸びてしまったようだ。手は、前に伸ばしきったところから、胸の高さまでの間になくてはならないらしい。
競技会では、そういう細かいところもシビアにチェックされる、ということさえ知らなかったのだ。
それも含めて、とにかくたくさん良い経験ができた。
大人だって、ワクワクドキドキするぞ〜
またひとまわり逞しくなった娘を見るのは嬉しい。こうして日々成長してくれているのが、よく分かる。
大人だって負けてはいられない。成長しなくてはならない。どんどん経験を積み重ねていくことが、まず一番大切なのだ。
怖気付いてしまそうでも、飛び込め!どうせ何をしたって、失格なんかない。