僕の魂が海を渡って行ったり来たりする物語

小豆島から大阪へ流れ着きました

小豆島高校の甲子園初出場が教えてくれたこと 

2016年3月21日は、小豆島高校野球部が甲子園の大会史に初めてその名を残す、記念すべき日となりました。同時に、「小豆島」が全国に向けて大々的に発信された日として、記憶されることになったはずです。

 

アルプスが赤く染まった!揺れた!

テレビ等でご覧になった方も多いと思いますが、もう大変な騒ぎでした。なにしろ、2009年の甲子園改装後の、最多入場者数を更新したそうです。
 
大阪では、関西錦楓会という小豆島高校同窓会支部の事務所で、チケットの事前配布がありました。開幕の前週、平日の真昼間ですが、本町にあるその事務所前にできた行列が、御堂筋にまで溢れました。
 
当初錦楓会は、「希望者には何枚でも配りますよ」というスタンスだったようですが、問い合わせが殺到したことで急遽方針を変更したと聞きます。
 
只事ではない状況になってきていたのです。
 
僕は、その錦楓会のルートからチケットを入手できたので、当日は試合に間に合いさえすれば良かったんですが、そんなのんびりした気分で居られる訳がありません。まだ暗いうちから家を出ました。
 
 6時半頃には、アルプス席の入り口に到着しましたが、途中の当日券売り場前にはもう長蛇の列が…。
 
後で聞いた話ですが、その時間に並び始めた人にはもう結局チケットは無くて、外野席へ回らざるをえなかったそうです。
 
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開門を待つ間、知っている顔を何人も見かけましたが、列を離れられないのでやり過ごしました。先頭から100人目くらいに居た僕の後ろには、多分何千人もが続いていたと思います。騒ぎの中に入ってしまうと、全貌が見えないのでかえってよく分からないものです。そんな気がしました。
 
開門して席に着いて、後ろを振り返った時にも、「訳わからん事が起きてる…」と、信じられなかったです。アルプス席の隅から隅まで真っ赤っかでした。
 
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野球の底力と郷土愛

最近では、女子陸上部が高校駅伝の全国大会に度々出場している小豆島高校ですが、野球が与える影響力の大きさはケタ外れであることを見せつけられました。それに郷土愛。地元では「なんで応援ツアーに行かれへんねん!」「もうチケットが無いので自重して下さい」と、騒ぎになっていたそうで、頑張って動員をかけなくてもこうなったことは、これまで誰もがどれほど「島からの甲子園」を待ち望んでいたかを示すものです。
 
来春統合される土庄高校との合同応援チーム、オッちゃんもオバちゃんも子供も一緒になっての大声援。どれもが最高に感動的でした。
 
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甲子園は高校生のもの

ただのクラブ活動に過ぎない高校野球を、「教育の一環」なんてよく分からない言葉で包んでしまうのは嫌いです。 しかし、グラウンドの選手もスタンドで戦った応援団も、どちらも甲子園が彼らを大きく成長させてくれたことは事実です。

 

僕はいったい何にこんなにも感動しているのでしょう。

 

島がひとつになったから?念願の甲子園だったから?その通りです。でももっと素晴らしい贈り物を貰えました。そう、島の子供たちが皆んなで力を合わせて頑張る中で、見る見る成長する姿を見せてくれたこと。これ以上のものはありません。

 
甲子園をリアルに想像できた人が、果たしてこれまで島に何人いたでしょう?今の島の高校生たちが時代を動かし、常識を覆したのです。強い思いが何かをグラっと突き動かす時、「ああこんなにも感動できるのか」と改めて知らされました。思えば思うほど、やはり「快挙」です。
 
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何の見返りもないのに支えてくれる人たち

当日の甲子園の行き帰り、赤いジャンパーを着ていたら、知らない人にいっぱい声を掛けられました。間違いなくそのへんの野球好きの話題をさらっていましたね。マスコミのパワーは凄いです。その中に、昔何度もプロテストに挑戦した、というオッちゃんが居ました。仕事が空いた日は、よく見に行くそうです。60過ぎくらいの方でした。

 

高校野球は泣けるんですよね…。」何度も仰っていました。

 

こういう人たちが、子供たちの成長を見ることに喜びを覚え、そして支えてくれているということが、よく分かります。皆んながそうやって繋がっているんですよね、例えばこの場合なら野球を通じて…。

 

生物としては、本能的にも当然という気がします。子供たちの成長は、人の究極的喜びなのでしょう。